KATZさんのランキング2012

【KATZのランキング】
遅くなりましたが、右岸の羊座さんのご厚意で、今年もKATZのランキングを載せていただけることになりました
2012年劇場公開、映画祭、各種上映会で鑑賞した約390本の中から、邦画、洋画、ドキュメンタリーからアニメまで取り混ぜて、独断と偏見で、 BEST30を選びました。(テレビ上映等は除きます)
偏りがあるのはご容赦。選ばれなかった作品にも良い映画はたくさんあります!(泣く泣くランキングから外しました。)

1 009 RE:CYBORG 3D
2 サラの鍵
3 ぼくたちのムッシュ・ラザール
4 山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012
5 ロボット 完全版
6 サウダーヂ
7 かぞくのくに
8 ヒューゴの不思議な発明 3D
9 3月11日を生きて~石巻・門脇小・人びと・ことば~
10 石巻市立湊小学校避難所
11 オレンジと太陽
12 演劇2
13 コッホ先生と僕らの革命
14 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
15 夢売るふたり
16 ニッポンの嘘 ~報道写真家 福島菊次郎90歳~
17 裏切りのサーカス
18 エージェント・マロリー
19 ディクテーター 身元不明でニューヨーク
20 メン・イン・ブラック3 3D
21 アルゴ
22 テルマエ・ロマエ
23 孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて~
24 ニーチェの馬
25 孤島の王
26 ヘルタースケルター
27 ベイビーズ-いのちのちから-
28 鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言
29 ミッドナイト・イン・パリ
30 照明熊谷学校

1位の『009 RE:CYBORG 3D』は、(仙台では)興行的には芳しくありませんでしたが、傑作です。原作のモチーフを上手に生かしつつ、現代的な解釈と洗練されたビジュアルで、極上 のエンターテインメントに仕上げています。細部にまで目配りの利いた神山健治監督の脚本と演出は、何度も観たくなる魅力に溢れています。

『サラの鍵』『ヒューゴの不思議な発明 3D』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』と、キーワードに「鍵」が挙げられるのが2012年の特徴でしょうか?
また、『ロボット 完全版』『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』やランク外ですが『デビルズ・ダブル ―ある影武者の物語―』での1人2役も、2012年の映画状況を語る上での重要なポイントです。(2013年02月16日には『王のなった男』も公開されました)
上述の『009 RE:CYBORG 3D』や『メン・イン・ブラック3 3D』、また、ランク外ですが『ダークナイト ライジング』『プロメテウス』と、シリーズ物や派生作の新作に秀作が多かったのも特徴のひとつかもしれません。

5位の『ロボット 完全版』はBD、DVDが発売されていますが、音声は日本語吹き替えと「ヒンディー語吹き替え」です。オリジナルのタミル語では、全世界的にも発売される 気配はないので、2役を演じたラジニカーントの生声を劇場で体感できた人はラッキーです!

6位の『サウダーヂ』は、ともすれば重々しくなってしまいそうなテーマをさらりと描写して、それでいて心に残るものを観客に突きつける、そんな映画です。自主制作で、映倫すら通していないスタッフの心意気にも敬服します。

9位の『3月11日を生きて~石巻・門脇小・人びと・ことば~』はご覧になったかたも多いかと思います。3月3~5日、桜井薬局セントラルホール で上映されますので、大スクリーンで観るのもよろしいかと…。5日は、念願だった英語ヴァージョンでの上映です!

12位の『演劇2』は『演劇1』と合わせての2部作ですが、それぞれ独立しています。ランクインしたのは『~2』だけですが『~1』も素晴らしいです。演劇に限らず、映画を愛する人必見の作品です。

なお『イラン式料理本 』は昨年のランキングに登場したので、外しました。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 勝手にKATZ AWARD 2012 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆

今回は、作品ランキングの他に、勝手に各賞を設けてみました。

●最優秀主演男優賞 阿部寛 (「テルマエ・ロマエ」「カラスの親指」「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」)
○優秀主演男優賞 ラジニカーント (「ロボット【完全版】」)
○優秀主演男優賞 マイケル・ファスベンダー(「SHAME -シェイム-」「危険なメソッド」「ジェーン・エア」)
○優秀主演男優賞 ドミニク・クーパー(「デビルズ・ダブル ―ある影武者の物語― 」)
○優秀主演男優賞 モハメッド・フェラグ(「ぼくたちのムッシュ・ラザール」)
○優秀主演男優賞 エイサ・バターフィールド(「ヒューゴの不思議な発明 3D 」)
○優秀主演男優賞 ショーン・ペン(「きっと ここが帰る場所」)

●最優秀主演女優賞 沢尻エリカ(「ヘルタースケルター」)
○優秀主演女優賞 ジーナ・カラーノ(「エージェント・マロリー」 )
○優秀主演女優賞 クリスティン・スコット・トーマス(「サラの鍵」)
○優秀主演女優賞 エミリー・ワトソン(「オレンジと太陽」)
○優秀主演女優賞 綾瀬はるか(「映画 ひみつのアッコちゃん」)
○優秀主演女優賞 ミシェル・ヨー(「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」)
○優秀主演女優賞 ミア・ワシコウスカ(「永遠の僕たち」「ジェーン・エア」)
○優秀主演女優賞 ミラ・ジョヴォヴィッチ(「フェイシズ」「バイオハザードV:リトリビューション」)
○優秀主演女優賞 アイシュワリヤー・ラーイ(「ロボット【完全版】」)

●最優秀助演男優賞 大沢たかお(「終の信託」「おおかみこどもの雨と雪 」)
○優秀助演男優賞 鶴見辰吾(「カラスの親指 」「黄金を抱いて翔べ」「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」「マイウェイ 12,000キロの真実」)
○優秀助演男優賞 ジョン・グッドマン(「人生の特等席」「アーティスト」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「アルゴ)
○優秀助演男優賞 諏訪太朗(「かぞくのくに」「ヒミズ」)
○優秀助演男優賞 ベン・キングズレー(「ヒューゴの不思議な発明 3D」「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」)
○優秀助演男優賞 マイケル・ファスベンダー(「プロメテウス」「エージェント・マロリー」)

●最優秀助演女優賞 キムラ緑子(「わが母の記」「人生、いろどり」「テルマエ・ロマエ」)
○優秀助演女優賞 ヘレナ・ボナム=カーター(「ダーク・シャドウ」「レ・ミゼラブル」)
○優秀助演女優賞 キンガ・プレイス(「ソハの地下水道」)

○特別賞 マイケル・ファスベンダー(「SHAME -シェイム-」「プロメテウス」「エージェント・マロリー」「危険なメソッド」「ジェーン・エア」)
○特別賞 アルバ・ロルヴァケル(「やがて来たる者へ」「ミラノ、愛に生きる」)
○特別賞 ユリア・ディーツェ(「アイアン・スカイ」)
○特別賞 カロリーナ・バング(「気狂いピエロの決闘」)
○特別賞 ヘンリエッテ・コンフリウス(「コッホ先生と僕らの革命」)
○特別賞 クリステン・ウィグ(「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」主演、脚本)
○特別賞 サシャ・バロン・コーエン(「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」「ヒューゴの不思議な発明 」「レ・ミゼラブル」)
○特別賞 橋本愛(「桐島、部活やめるってよ」「スープ~生まれ変わりの物語~」「劇場版 BLOOD-C The Last Dark」「HOME 愛しの座敷わらし」「貞子3D」「Another アナザー」)

○新人賞 トーマス・ホーン(「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」)
○新人賞 三根梓(「シグナル~月曜日のルカ~」)
○新人賞 能年玲奈(「カラスの親指」「グッモーエビアン!」)
○新人賞 三吉彩花(「グッモーエビアン!」)
○新人賞 山本美月(「桐島、部活やめるってよ」)
○新人賞 ヘンリー・ホッパー(「永遠の僕たち」)
○新人賞 アドリアン・ムーア(「コッホ先生と僕らの革命」)

○監督賞 森田芳光(「僕達急行 A列車で行こう」)

●最優秀作品賞 009 RE:CYBORG 3D

●優秀脚色賞 009 RE:CYBORG 3D
○優秀脚色賞 サラの鍵
○優秀脚色賞 ぼくたちのムッシュ・ラザール

●最優秀脚本賞 サウダーヂ
○優秀脚本賞 夢売るふたり
○優秀脚本賞 キツツキと雨
○優秀脚本賞 エージェント・マロリー

●最優秀撮影賞 裏切りのサーカス
○優秀撮影賞 エージェント・マロリー
○優秀撮影賞 ニーチェの馬

●最優秀視覚効果賞 ヒューゴの不思議な発明 3D
○優秀視覚効果賞 pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 3D
○優秀視覚効果賞 シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語
○優秀視覚効果賞 009 RE:CYBORG 3D

●最優秀音楽賞 SHAME -シェイム-
○優秀音楽賞 009 RE:CYBORG 3D
○優秀音楽賞 エージェント・マロリー
○優秀音楽賞 アウトレイジ ビヨンド

●最優秀編集賞 3月11日を生きて~石巻・門脇小・人びと・ことば~

●最低映画賞 バッド・ティーチャー

【最優秀主演男優賞】
『カラスの親指』が公開されるまで、賞レースはラジニカーントが頭ひとつ抜き出ていたのですが、最終的に全3作品での合わせ技で阿部寛の受賞です。でも『ボス その男シヴァージ』が仙台で公開されていたら、受賞の行方は変わっていたでしょう。

【最優秀主演女優賞】
『ヘルタースケルター』での圧倒的存在感で、沢尻エリカが、ぶっちぎりの受賞です。
注目は『エージェント・マロリー』のジーナ・カラーノです。
また、あまり話題にはなっていませんが、『映画 ひみつのアッコちゃん』での綾瀬はるかが、小学生がそのまま大人になったら多分こんな感じ、というのを上手く表現しています。映画自体は、必ずしも押さえておくべき作品という訳ではありません。

【最優秀助演男優賞】
存在感ではジョン・グッドマンも捨て難かったのですが、『終の信託』での長台詞が素晴らしく、大沢たかおの受賞です。注目は『かぞくのくに』での 諏訪太朗の演技です。

【最優秀助演女優賞】
『わが母の記』での演技が見事で、『人生、いろどり』での佇まいも素晴らしくキムラ緑子の受賞です。

【最優秀脚色賞】
原作のある作品やシリーズ物の続編での優秀な脚本に贈られる賞です。
『009 RE:CYBORG 3D』の緻密なシナリオに、賞を贈ります。

【最優秀脚本賞】
原作のない、映画のためのオリジナル脚本に贈られる賞です。
『サウダーヂ』は圧巻です。

【最優秀撮影賞】
撮影の素晴らしかった作品に贈られる賞です。
『裏切りのサーカス 』は脚本がスリリングなので、そちらに注目しがちですが、計算されたカメラワークが素晴らしく、構図も見事な上に、色調を抑えた画面が美しいです。

【最優秀視覚効果賞】
特殊効果やCGなど、映像効果の素晴らしかった作品に贈られる賞です。4作品は全て3Dですが、3Dが必須要件ではありません。2009年に『アバター』が公開されてから3年が経過しましたが、これからも続くであろう長い映画の歴史の中では、3D映画は未だ黎明期だと思います。作品によっ て3Dの出来不出来の差が激しく、玉石混淆の状態です。そんな中で、3Dの可能性を感じさせる作品が、今回、選ばれました。特に『ヒューゴの不思 議な発明 3D 』は、役者の演技・演出を3Dを計算して調整している点で、他より秀でていました。

【特別賞】
活躍が著しかった俳優や、とりわけ印象深かった俳優に贈られる賞です。同時に、KATZの独断と偏見が最も反映される賞でもあります。2012年 は、マイケル・ファスベンダーの年と言ってもいいくらいの活躍でした。

【新人賞】
映画初出演または比較的出演歴の短い俳優で、深い印象を残した俳優や将来性を感じられる俳優に贈られる賞です。橋本愛、能年玲奈、三吉彩花は、 2010年の『告白』(原作:湊かなえ、監督:中島哲也)で同じクラスです。告白組は今後が楽しみです。
橋本愛はキネマ旬報新人女優賞を受賞していましたが、新人と呼ぶには、すでに充分過ぎるキャリアを積んでいると判断し、特別賞です。

【最優秀音楽賞】
本来なら、録音賞、音響編集賞、作曲賞、歌曲賞と細分化すべきでしょうが、KATZにそこまでジャッジする力量がなかったので「音全般」としてひと括りにしました。スミマセン。

sai インタビュービデオ上映会のお知らせ!

宮城県美術館の齋 正弘(さい・まさひろ)さんにインタビューしたビデオ上映会を開催します。この作品は「せんだい演劇工房10-BOX」で昨年12月から上映がスタートし、大好評につきこの度再上映となりました。前回見逃した方もぜひご参加下さい。

http://www.gekito.jp/10thjouenkikaku.html (10-BOX 10周年記念公演)

3月5日(火)午後7時から 会場:右岸の羊座

入場料:500円(1ドリンク付き)

問い合せ:ムーダの会 (マキさん090-4312-5822)または右岸の羊座(022-721-1094)

2月の上映会!

右岸の羊座では2月23日(土)・24(日)両日午後2時より、

『24,000年の方舟』(1986年・33分・監督:高橋一郎・ナレーター:大滝秀治) http://slowcom.fc2web.com/hakobune1.htm

『シェーナウの想い~自然エネルギー社会を子どもたちに~』(2008年・60分・監督:フランク=ディーチェ、ヴェルナー=キーファー・日本語翻訳:及川斉志) http://www.geocities.jp/naturalenergysociety/

の2本立てで上映いたします。参加費500円(資料代含みます)

問い合せ:右岸の羊座 ℡022(721)1094またはuganhits@gmail.comまで

 

ドキュメンタリー映画『TOKYO アイヌ』上映会

(2010年、116分、撮影・編集・監督 森谷博)

2013年2月2日(土)、 東北大学川内北キャンパス全学教育A棟200にて上映会があります。第一部13:00から映画上映、第二部15:30から解説・討論

問い合わせ movietohoku@gmail.com

http://www.2kamuymintara.com/film/ 『TOKYO アイヌ』公式サイト

入場無料

 

*羊座ブログの更新またはメールの返信が遅れた事をお詫び申し上げます。本日PC修理完了しました。

 

映画『草間弥生 わたし大好き』上映会

羊座で昨年、一昨年と2回の上映会を開催し好評だったドキュメンタリー映画『草間弥生 わたし大好き』が、今回1月26日(土)ギャラリー・ターンアラウンドで再上映されることとなりました。上映の間に行われるトークイベントが見逃せません!是非会場に足をお運び下さい。

詳細は http://turn-around.jp/ (ギャラリー・ターンアラウンド)

記録映画『父をめぐる旅』公開!

戦後の日本画壇で異端的な作品を多数発表し、反骨の画家として知られた中村正義のドキュメンタリー。1946年に22歳の若さで日展に初入選を果たすなど、低迷していた戦後の日本画壇で将来を期待された中村だったが、画壇の古い体質や権威主義に異を唱えて日展を脱退。既成概念を覆す多彩な作品を発表し続けていくが、77年、ガンにより52歳で他界する。「中村正義の美術館」を守り続けてきた実娘の倫子さんが、いまだ知らない父の本当の姿を探して旅をする様子を追いながら、ひとりの人間としての中村正義が生きた時代を描き出していく。今村昌平とともに今村プロダクションを設立し、「楢山節考」の監督補や「復讐するは我にあり」のプロデューサーを務めた武重邦夫と、数々のテレビドキュメンタリーなどを手がけてきた近藤正典の2人が共同監督。

http://www.cinemanest.com/masayoshi/home.html (『父をめぐる旅』公式サイト)

残念ながら今の段階では、仙台での公開は決定していない様です。今後に期待。